子どもの意思と親権|法律上の扱い
家庭裁判所は親権や面会交流の判断において、概ね10歳頃から子どもの意思を考慮し、15歳以上の子どもについては必ず意見を聴取する義務があります(家事事件手続法第152条第2項)。
ただし、子どもの意思は判断要素の一つであり、年齢が低いほど他の要素(監護の継続性、両親の養育能力、兄弟姉妹の状況など)と総合的に判断されます。子どもの意見がそのまま結論になるわけではない点に注意が必要です。
年齢別|子どもの意思の扱われ方
0〜6歳:この年齢の子どもの意思は直接的には考慮されません。言語能力が未発達なため、家庭裁判所調査官が行動観察(別居親との交流場面の様子など)を通じて間接的に子どもの気持ちを評価します。
7〜9歳:子どもの意見を参考にすることはありますが、周囲の影響を受けやすい年齢であるため、慎重に扱われます。同居親の影響で意見が偏っていないか、調査官が複数回の面談を通じて見極めます。
10〜14歳:子どもの意思が相当程度尊重される年齢帯です。家庭裁判所調査官が直接面談を行い、子ども自身の考えや気持ちを丁寧に聴取します。この年齢の子どもの意見は、裁判所の判断に大きな影響を与えます。
15歳以上:法律上、裁判所は必ず子どもの意見を聴取しなければなりません。高校生以上の子どもの意思は非常に重視され、本人が強く希望する場合は、その意思に沿った判断がなされるケースが多いです。
子どもの意見聴取の方法|家庭裁判所調査官の役割
子どもの意見聴取は、家庭裁判所調査官(元心理専門職)が行います。調査官は子どもと個別に面談し、リラックスした環境で話を聞きます。面談場所は裁判所内の専用の部屋や、場合によっては子どもの学校や自宅で行われることもあります。
調査官は、子どもが両親の板挟みになっていないか、一方の親から影響を受けていないか(忠誠葛藤の有無)を慎重に見極めます。単に「どちらの親と住みたい?」と聞くのではなく、日常生活の様子、両親との関係、将来の希望などを多角的に聴取します。
最高裁の指針では、子どもの発達段階に応じた面接技法の使用が推奨されています。低年齢の子どもに対しては遊びを通じた観察、思春期の子どもに対しては半構造化面接など、年齢に適した方法が用いられます。
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共同親権と子どもの意思|2026年法改正のポイント
2026年4月施行の改正民法では、「子の利益」を最優先に考慮することが明記されています。子どもの意思は「子の利益」を判断する重要な要素の一つとして位置づけられています。
共同親権か単独親権かの判断においても、子どもの年齢や意思は考慮されます。特に、子どもが15歳以上で明確に一方の親との同居を希望している場合、その意思は重く受け止められます。
ただし、法務省は「子どもに親権の選択を迫るべきではない」との立場も示しています。両親の争いに子どもを巻き込まないよう、子どもの意見聴取は慎重かつ専門的に行われるべきとされています。
まとめ|子どもの声を適切に反映するために
子どもの意思は年齢が上がるほど重視されますが、いずれの年齢でも「子どもに選ばせる」のではなく「子どもの気持ちを汲み取る」という姿勢が大切です。両親は、子どもが安心して自分の気持ちを表現できる環境を整えましょう。
日常的に子どもの気持ちや意見を記録しておくことは、調停や裁判の場面でも役立ちます。ペア育児の共同意思決定機能では、子どもに関する重要事項の合意プロセスを記録できるため、子どもの意思が適切に反映されているかを後から確認できます。関連記事として離婚が子どもに与える影響と心のケア|年齢別の対応ガイド、子どもが面会交流を嫌がるときの対応方法、共同親権と監護者の違いとは?役割分担を解説もあわせてご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の状況については弁護士等の専門家にご相談ください。
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