共同親権とDV|最も重要なセーフガード
DV(家庭内暴力)や児童虐待がある場合、共同親権は原則として適用されず単独親権となります。これは2026年4月施行の改正民法に明記された最重要のセーフガードです。
法務省は、共同親権制度の設計においてDV・虐待被害者の保護を最優先事項として位置づけています。この記事では、具体的なセーフガードの仕組みと、DV被害者が利用できる制度・相談窓口を解説します。
法律上のセーフガード|DV・虐待時の親権決定
改正民法では、家庭裁判所が親権を決定する際に、DVや虐待の有無を必ず考慮することが義務づけられています。DVや虐待が認められた場合、裁判所は共同親権を認めず、被害者側の単独親権とする判断が原則です。
DVの認定には、保護命令の発令歴、警察への相談記録、診断書、DV相談支援センターの利用記録などが証拠として用いられます。物理的暴力だけでなく、精神的暴力(モラハラ)、経済的暴力、性的暴力もDVとして認定されます。
協議離婚で共同親権を選択する場合でも、DVの被害者が圧力を受けて不本意な合意をしていないか、裁判所が確認する仕組みの整備が進められています。
保護命令制度の活用
DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)に基づく保護命令は、被害者の安全を確保するための法的手段です。接近禁止命令、退去命令、電話等禁止命令、子への接近禁止命令などがあります。
保護命令が発令された場合、これは親権決定においてDVの存在を示す重要な証拠となります。保護命令の申立ては、地方裁判所に対して行い、申立てから発令まで通常1〜2週間程度です。
2026年の改正では、保護命令の対象が拡大され、精神的暴力も保護命令の対象に含まれるようになりました。これにより、物理的な暴力がなくても、モラハラなどの精神的DVから法的保護を受けることが可能になっています。
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DV被害者が利用できる相談窓口
DV相談ナビ(電話番号:#8008)は、最寄りのDV相談支援センターに電話を転送してくれる全国共通のサービスです。24時間対応のDV相談プラス(0120-279-889)も利用できます。
配偶者暴力相談支援センターは、全国の都道府県・市区町村に設置されており、相談、カウンセリング、一時保護、自立支援などの包括的なサービスを提供しています。
警察への相談も重要です。「110番」への通報はもちろん、警察の相談窓口「#9110」で事前相談ができます。相談の記録は、後の親権決定において重要な証拠となります。法テラス(0570-078374)では、法的手続きについての無料相談も受けられます。
共同親権を装ったDV継続のリスクと対策
専門家からの懸念として、加害者が共同親権を利用して被害者への支配を継続するリスクが指摘されています。例えば、子どもの転居や学校変更に対する「拒否権」を支配の手段として使う、面会交流を通じて被害者の情報を探るなどのケースです。
このリスクに対して、改正法では、DVが認められた場合は共同親権を認めないという明確な規定が設けられています。また、共同親権が認められた後であっても、DVが明らかになった場合は、単独親権への変更を申し立てることができます。
被害者自身が「DVかもしれない」と感じたら、一人で判断せず必ず専門窓口に相談してください。精神的DVは被害者自身が気づきにくいケースも多いため、第三者の視点で状況を客観的に評価してもらうことが重要です。
まとめ|安全を最優先に
共同親権制度は、DVや虐待がある場合には適用されない明確なセーフガードを備えています。被害者の安全と子どもの保護が最優先であり、この点は法務省も繰り返し強調しています。
DVが懸念される状況での親権問題は、必ず専門家(弁護士、DV相談支援センター)に相談してください。ペア育児は、安全な環境での共同養育を前提としたサービスですが、DVが疑われる場合は専門窓口への相談を最優先にお勧めします。関連記事としてDVがある場合の親権決定の仕組み、共同親権のデメリットと懸念点|リスクを正しく理解する、面会交流の第三者機関とは?支援内容・費用・利用方法を解説もあわせてご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。DV被害を受けている場合は、まず安全を確保し、速やかに専門機関に相談してください。
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